かつて蒸気機関車時代、一戸駅には一戸機関区がありました。東北本線で一番の難所と言われた十三本木峠(中山峠)が一戸駅の盛岡側にあり、この峠を越えるために増設のための蒸気機関車が常備されました。ここで補助の蒸気機関車を1台(重連)または2台(三重連)増結して対応しました。最盛期にはD50、D51など9両の蒸気機関車がここに配置されました。 しかし、電化によって馬力のある電気機関車が登場すると、機関区の役割も終了し、電化完了の1968(昭和43)年には一戸機関区の規模縮小、最終的には1982(昭和57)年に廃止されました。 現在でも敷地は広いのは、機関区があった頃の名残であり、一戸機関区敷地跡には一戸町役場が建っています。
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1977(昭和52)年当時の一戸駅周辺の空中写真。 電化後なので、転車台は撤去されているようです。 |
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一戸駅舎 | 一戸駅前。手前の空き地はバス停車場。 | ||||||||||||||
一戸駅を盛岡方面(南)より八戸方面(北)へ向けて撮影。左敷地にはかつて数本の引込線があった。 |
一戸駅(写真左)から一戸機関区へ伸びていた線路跡。現在は線路は撤去され、空き地となっている。 |
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柵に転用された枕木。これもかつての名残でしょうか。 |
一戸機関区があった一戸町役場へと進んでみます。現在線路跡は駐車場になっています。 |
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左の建物は体育館。かつてはここに転車台がありました。 |
一戸町役場から一戸駅方面を撮影。駐車場となっている部分が線路跡。 |
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一戸機関区の跡地には一戸町役場が建っています。 |
一戸町役場正門。 |
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ほとんどの建物は取り壊されていましたが、一戸町役場向かいにあるこの建物が唯一残されていました。 かつて近くに住んでいた父によれば、入浴施設か何かだと言うことです。 (2012年8月12日(日)撮影) |
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給水ポンプ施設跡(2013年8月13日(火)撮影) 蒸気機関車は大量に水を使用しますが、その水は一段低いところを流れている馬淵川からくみ上げてまかなっていました。現在でもその給水施設の一部が転用されて残されています。 |
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一戸駅 |
ちょうど左写真の反対側に空白地がありますが、これが給水ポンプへ通じる作業用道だったとのことです。 |
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現在は一戸町の上水道第二取水池となっています。プレートには「昭和57年3月竣工」とありますが、一戸機関区が最終的に廃止される直前の頃に合致します。 |
建物自体は機関区時代のものではないようですが、設備の一部は転用されているようです。 |
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川の対岸から取水口を見てみました。 |
拡大してみると、レンガ積みでできていました。レンガ積みは明治〜大正期の建築物に多く用いられ、一戸機関区の前身である盛岡機関区一戸給水転向所が開設されたのが1912(明治45)年ですので、開設当初からのもののようです。 |